2017/08/01

祝詞語彙25

万葉集巻第一より

【二十五番歌】

み吉野の 耳我(みみが)の嶺に 時なくそ 雪は降りける 間なくそ 雨は降りける その雪の 時なきがごと その雨の 間なきがごとく 隈もおちず 思ひつつぞ来し その山道を

【研究】

 この長歌全体を祝詞の一部分として使うことができそうです。まず、岩波文庫版にそって現代語訳を掲げますと、「み吉野の耳我の嶺に、絶え間なく雪は降っていたなあ。間断なく雨は降っていたなあ。その雪の絶え間がないように、その雨の間断がないように、山道の曲がり角ごとに物思いをしながら来たのだ、あの山道を」。

 例えば神幸祭において、雪が降ろうが雨が降ろうが、おみこしの渡御にお仕え申し上げますという内容で、

よしや時なくそ雪は降るとも、間なくそ雨は降るとも、その雪の時なきがごと、その雨の間なきがごとく、近う侍りて仕へ奉り……

 慰霊祭で招魂をともなう祭祀においても、使えるかもしれません。

 いらっしゃる道中、ずっと雪が降っていませんでしたか、雨が降っていませんでしたかと恐れはばかり、雪や雨が止まなかったようにいつもお慕い申す者(親族など参列者)が、お祭りいたしますとお招き、お据え申して……という感じで、つくってみます。

汝命等の来坐さむ道の長手はや、時なくそ雪や降るらむ、間なくそ雨や降るらむと畏み恐るれど、その雪の時なきがごと、その雨の間なきがごとく、常にも慕ひ奉り、仰ぎ奉るまにまに、心づくしの御祭仕へ奉らむと招き奉り、坐せ奉りて……

 ふたつあげた例のいずれも、もっと文章を練る必要がありますけれども、この歌中にある「雨」と「雪」の対句は祝詞作文に有用でしょう。当然ながら、「雨」「雪」を別な語句に変えて、その祭祀が行われる季節についての表現にも転用できそうです。

※二十六番歌、二十七番歌は省略します。

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