2017/05/15

撞賢木厳之御魂天疎向津媛命

 こちらの神様のお名前、ご存知ですか?

撞賢木厳之御魂天疎向津媛命

『日本書紀』巻九(「神功紀」)に登場、神功皇后が神がかりとなられたとき、乗り移ったのがこちらの神様です。

 読み方は、

つきさかき、いつのみたま、あまざかる、むかつびめの、みこと

 アマテラス大神の荒魂(あらみたま)であると、一般には考えられています。つまり、大神のすさまじいパワーを持った側面が神格化されて、こんなお名前で呼ばれているわけです。

 日本の神様、お名前を見ればどんな神様か大体予想がつきます。

 では、撞賢木厳之御魂天疎向津媛命とは、どんな神様なのでしょう。

つきさかき=榊に宿る
いつのみたま=生命力に満ち溢れた御魂
あまざかる=天から離れる
むかつびめ(の)=向かう女性(の)
みこと=尊称

「榊に宿る、生命力に満ち溢れた御魂を持っており、高天原から降ってきて、天に相対している神様」ということでしょう。

ただし、「むかつ(原文では『向津』)」が何に向かうのか、字義どおり「向かう」ととってよいのか(ムクは「剥か」かもしれませんし固有名詞の可能性もあります)解釈が分かれるかもしれません。

 さて、私は上でアマテラス大神の荒魂だと申し上げましたけど、何でそんなことが分るのか。

 別に神通力のためでも何でもなく、この神様が神がかりされたとき、自ら名乗っていらっしゃいます。

神風の伊勢の国の、ももづたふ度逢県(わたらいのあがた)の拆鈴(さくすず)五十鈴宮(いすずのみや)に居る所の神、名は撞賢木厳之御魂天疎向津媛命。

『日本書紀』のような古い書物で、「神風の伊勢の国」で始まったら、たいてい伊勢の神宮についての内容がつづきます。

 そのつづくことばが、ここでのように「拆鈴」や「拆釧(さくくしろ)」ならば皇大神宮(内宮)、「山田原」が出てきたら豊受大神宮(外宮)です。なお「山田原」は地名です。

 また、内宮の近くを流れる川が「五十鈴川」ですから、ここでのように「五十鈴宮」となっていても、まず間違いなく内宮のことでしょう。

 となると、主祭神アマテラス大神としか考えられません。

 では、なぜ荒魂となって神功皇后に神がかりされたのか。

 そのわけは、ここでは申し上げません。『日本書紀』の中でも非常に重要な場面ですので、私の拙文よりも、原文をぜひともご覧下さい。

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