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2017/05/19

北海道の神社の旧社格

 明治以降、戦前の神社には社格というものがございまして、トップが官幣(かんぺい)大社、ついで国幣(こくへい)大社、以下、官幣中社、国幣中社・・・・・・と続きます。今も神社の入口に○幣○社、なんて彫った石碑があるところもありますね。

 これらの神社には大きなお祭りのときに幣帛がおくられるのですが、官幣社は神祇官(変遷していきます)、国幣社は地方官からおくられるという違いがあります。

 また、このランキングで行くと国幣小社が最後ですが、この下には、特に大中小の別のない別格官幣社があります。功績のあった歴史上の人物をご祭神にしている神社が多いです。今ランキングと言いましたが、実際には、例えば官幣大社と国幣大社とで、日々の業務や人事面での任用のされ方、その他諸々の面で大きな違いがある訳ではなかったようです。

 これらをひっくるめて官社と言います。かつて官社の神職は神葬祭に携われませんでした。国家の宗祀ゆえです。お葬式って、宗教色がかなりはっきり出ますよね。そこが困る訳です。

 じゃあこれら官社は神道じゃないのか、宗教じゃないのか、という問題はその当時から議論されていましたが、ここではあえて深入りしません。難しい問題なので、逃げます。

 さて、官社ばかりが神社ではありません。その下に、総称すると諸社(民社という人もいます)があって、これは府社・県社、郷社、村社、無格社に分かれていました。

 ランキング順もこの通りです。戦中に東京が府から都になったためか都社はなく、北海道だからといって道社があった訳ではありません。

 また、面白いですが無格社は「格がない」と名づけられた「格」なんです。伊勢の神宮も少し似ているんですが、こっちは格などというものを超越している=格付けできない、のであって、全然意味が違います。

 ここで北海道の神社では・・・・・・と考えて調べ出したんですが、挫折しました。CD-ROMの「北海道神社名鑑」から総当りしようとしたんですが、旧社格が書かれていないことが多く(多分殆どは無格社だろうとは思うんですが)、村社の数が余りに多くて時間がかかる。そこで、県社と郷社とをひとまず調べてみました。もし抜けがありましたら申し訳ありません。

 まず官社。札幌神社(現・北海道神宮)が官幣大社、函館八幡宮が国幣中社。この二社のみです。

 では、諸社の数をブロックごとに分けて、見てみましょう。

 北海道はでっかいどうなので以前、道庁の下に支庁がありました。いまは総合振興局もしくは振興局となっています。ここでは以前の支庁ごとにまとめてみます。地理的にどの辺りかは最下部をごらんください。

 なお、村社から郷社、郷社から県社・・・・・・などと社格がアップすることがありますが、最終的な社格で調査しました。

【石狩】県1郷10
【渡島】県2郷5
【桧山】県0郷5
【後志】県2郷12
【空知】県5郷12
【上川】県4郷5
【留萌】県1郷4
【宗谷】県0郷1
【網走】県1郷2
【胆振】県2郷5
【日高】県0郷7
【十勝】県2郷4
【釧路】県1郷1
【根室】県0郷1
【合計】県21郷74

 はっきり分かるのは、札幌周辺が多いこと。石狩・空知・後志で県社が8(全体の約4割)、郷社が34(全体の約5割)。札幌から遠い宗谷や網走、釧路や根室は全体からみてかなり少ないですよね。

 なお、現在は社格というものは存在しません。神社本庁包括下の神社の中には「別表神社」と呼ばれるところがあって、これを一種の社格として捉える方もいるそうですが、規定類を読みますと、何ら社格を意味するものではないと書かれています。

 最後に、郷社はさすがに数が多いので勘弁していただくとして、今回調査してピックアップした県社をすべてあげてみます。

【石狩】三吉神社(札幌)
【渡島】松前神社(松前)、東照宮(函館)
【後志】余市神社(余市)、岩内神社(岩内)
【空知】岩見沢神社(岩見沢)、空知神社(美唄)、滝川神社(滝川)、新十津川神社(新十津川)、深川神社(深川)
【上川】鷹栖神社(鷹栖)、旭川神社(旭川)、上川神社(旭川)、永山神社(旭川)
【留萌】留萌神社(留萌)
【網走】網走神社(網走)
【胆振】室蘭八幡宮(室蘭)、樽前山神社(苫小牧)
【十勝】帯広神社(帯広)、十勝神社(広尾)
【釧路】厳島神社(釧路)



各旧支庁のおおまかな地理的位置
【石狩】は札幌周辺。
【渡島(おしま)】南西部にYを逆にした形の「渡島半島」があります。その大部分。
【桧山(ひやま)】は渡島半島西部。
【後志】は小樽やルスツなどの周辺。
【空知】は石狩の東、内陸部。
【上川】は旭川、富良野など内陸部ですが、中央・かなり南北に長い地域です。
【留萌】石狩の北、日本海に面したこれも細長い地域。
【宗谷】北の果て。稚内や宗谷岬のあたり。
【網走】オホーツク海沿岸の大部分です。
【胆振(いぶり)】室蘭や苫小牧、登別の周辺で、東西に細長い地域です。
【日高】は南部、襟裳岬の辺りです。
【十勝】帯広を中心とした広大な地域です。
【釧路】は十勝の東、阿寒湖や摩周湖、釧路湿原があります。
【根室】は東の果て。北方領土がすぐ東にあります。

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