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2017/04/05

神職の職位・階位・級位

 以前、某神社の同職の方が葬儀のご奉仕をするといつも控室の入口に「神官控室」と書いてあるけど、「官」じゃないから違うんだけどなあ、と言っていました。一般には「神主」といわれることが多いですが、公称は神官でも神主でもなく「神職」です。

 神社にお勤めしている神職はみな、職位・階位・級位が決まっています。以下、宗教法人・神社本庁包括下の神社の場合について、ご説明します。
 
●神社内での職位●

 要は一般の会社での役職名、社長、部長、課長……などとほぼ同じといってよいでしょう。

宮司(ぐうじ)……その神社の責任者
権宮司(ごんぐうじ)……いわば副宮司。大きな神社のみ。
禰宜(ねぎ)……管理職
権禰宜(ごんねぎ)……一般職員
出仕(しゅっし)……見習い

 他、歴史ある神社では主典(しゅてん)、宮掌(くじょう)など古くからの職名をそのまま用いているところも多いですが、基本は上の五つ。小さい神社では宮司のみ、宮司と禰宜のふたり、宮司と権禰宜のふたりなどと、すべての職位の者がいなければならない……というものではありません。
 
●階位●

 階位は神職の免許証のようなものです。これがなければ神社で神職として採用されることはありません。上から順に浄階・明階・正階・権正階・直階の五種類。
 
○浄階
 大きな神社で長年、宮司や権宮司として活躍するなど、功績の顕著な人が選考を受け、神社本庁の役員会の承認をへて検定、授与されます。

○明階
 主に大学を出て、神職として数年研鑚を積んで授与される人が多いです。大きな神社の宮司・権宮司になるには、この明階以上が必要です。

○正階
 各地の養成所を出た人が多いようです。養成所は、色々な神社で日々奉仕するなど、大学よりも実践的。最初からもう、即戦力として活躍できます。

○権正階
 普通の神社の宮司になるためには、この権正階以上が必要です。「権」は「仮の」「副」という意味ですから「部長見習」「係長心得」なんていうのと少し似ています。

○直階
 最も基本的な階位。簡単に取得できるように思われるかも知れませんが、なかなか大変ですよ。


●身分●

 この身分によって袴の色が決まります。下記「藤の丸」は文の名前、「神宮」は伊勢の神宮のことです。

○特級(白固織・藤の丸)
 神社本庁統理と神宮大宮司は無条件に特級となります。他は、長年の功績が認められた人。

○一級(紫固織・藤の丸)
 神宮少宮司は無条件に一級です。
 他には、特級と同様、長年の功績が認められた人。

○二級上(紫固織・藤の丸共緯)
 神宮禰宜、大きな神社の宮司や権宮司であれば、無条件に二級上です。
 もしくは正階・二級の神職で、二級となってから十年以上がたっていて、成績優秀な人。

○二級(紫平絹)
 神宮禰宜・大きな神社の宮司や権宮司。
 三級の神職として十五年以上、または神職として二十年以上在職して、成績優秀であったり、功績顕著であったり、表彰を受けたりなど、他はさまざまです。
 
○三級・四級(浅黄平絹)
 現に有している階位が直階ならば、無条件に四級、他は三級です。逆にいうと、階位を最初に取得したときに権正階以上であれば無条件に三級、ということになります。

 さて私の場合は、

 職名:宮司
 階位:明階
 身分:三級

 ということになります。

 これらは言うまでもなく人間の側の話であって、神様にとってみれば、何の関係もないことに違いありません。ただ、大きなお祭りの責任者は普通宮司ですし、そのお祭りの中で、より重要な役は上の方の人が行う方が、理にかなっています。

 まして一般の方には、ハカマの色にしても階・級位にしても全然関係のない話ですが、これらの制度によって上下関係を定めることは間違いなく祭事を行うためのもの……と、ご承知おきください。

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