万葉集巻第一より
【二十一番歌】
紫草(むらさき)の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも
〇恋ひめやも……反語。恋しく思うだろうか、いや思わないだろう。
【補足】
本歌の大意は「妹」がもし疎ましいのなら、人妻だからといって、恋しく思わないだろう、つまりは「妹」は決して疎ましくないのだ、ということ。
「恋ひめやも」の「恋ひめ」は上二段活用の動詞「恋ふ」に推量の助動詞「む」がついたもの。「や」と「も」はそれぞれ終助詞で、奈良時代には連語として使われることが多かった(平安以降「やは」が取って代わる)。活用する語の已然形につき、本歌のように反語の意味をもつ。
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