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2017/08/03

祝詞語彙27

万葉集巻第一より

【二十九番歌】

玉だすき 畝傍の山の 橿原の ひじりの御代ゆ 生(あ)れましし 神のことごと つがの木の いやつぎつぎに 天の下 知らしめししを 天(そら)にみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか あまざかる 鄙(ひな)にはあれど いはばしる 近江の国の 楽浪(ささなみ)の 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇の 神の命の 大宮は ここと聞けども 大殿は ここと言へども 春草の 繁く生ひたる 霞立ち 春日(はるひ)の霧(き)れる ももしきの 大宮所 見れば悲しも

〇いかさまに 思ほしめせか……どのようにお思いになったのか。

〇霧れる……霧がかかっている。「霧(き)る」で霧がかかるという意味。

【研究】

 初句より「知らしめししを」まで、例えば紀元祭祝詞などの、祝詞の一節として引用できそうです。岩波文庫版に沿って現代語訳を掲げると、
(玉だすき)畝傍の山の、橿原の聖なる神武天皇の御代から、お生まれになった歴代の天皇が、(つがの木の)次々に続いて、天下を治められたのに
「橿原のひじりの御代」また「つがの木のいやつぎつぎに」という表現が参考になります。

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