万葉集巻第一より
【三十番歌】
楽浪(ささなみ)の 志賀の辛崎(からさき) 幸(さき)くあれど 大宮人の 船待ちかねつ
【研究】
第三句「幸くあれど」の岩波文庫版の訳は「今も無事で変わらなぬが」。伊藤博釈注、集英社文庫版では「志賀の辛崎」を擬人化して「お前は昔のままにたゆとうているが」。
祝詞の祈願句の中で「幸く真幸く」などと申すと、幸せでありますよう、幸せになりますようお願い申し上げる、という意味にとらえがちです。
しかし古代人の感覚では、神様のおかげをこうむって今こうして無事な状態にあることが、「幸くあり」なのでしょう。
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