官報・昭和八年四月十四日
内務省令第九号/神宮神嘗祭付属トシテ四月下旬神田下種祭ヲ九月中旬抜穂祭ヲ行フ其ノ祭式及祝詞左ノ通定ム
二 祝詞
忌鍬山口祭場祓詞
祓所の大神の前に白さく、今年より始めて古き例の随に、忌鍬山の山口に坐す大神に請ひ祈み奉りて、大御刀に忌種下の神業仕へ奉る忌鍬の料を採り奉らむとして、この斎庭を祓へ清むることを聞し食せと、恐み恐みも白す
忌鍬山山口祭場祝詞
忌鍬山の山口に坐す大神の前に白さく、今年より始めて古き例の随に、大御刀代に忌種下の神業仕へ奉るがゆゑに、大神の敷き坐せる御山に入り立ちて、忌鍬の料を採り奉らくと、五色の薄絁・木綿・鉄の人像・鏡・鉾を始め、御食・御酒、海川山野の種種の物を置き足らはして献る状を、平けく安けく聞し食して、大御刀
代を鋤き返す忌鍬かたらかに造り仕へ奉らしめ給へと、恐み恐みも白す
忌鍬木本祭場祓詞
祓所の大神の前に白さく、今年より始めて古き例の随に、忌鍬山の木本に坐す大神に請ひ祈み奉りて、大御刀代に忌種下の神業仕へ奉る忌鍬の料を採り奉らむとして、この斎庭を祓へ清むることを聞し食せと、恐み恐みも白す
忌鍬山木本祭場祝詞
忌鍬山の木本に坐す大神の前に白さく、今年より始めて古き例の随に大御刀代に忌種下の神業仕へ奉るがゆゑに、大神の敷き坐せる御山に生ひ立てる御木〈乃〉中〈爾〉此〈乃〉御木〈乎〉美〈志〉御木〈登〉選定めて、忌斧以ちて伐り採り、本末を大神に献り、中間を忌鍬に造り仕へ奉らくと、五色の薄絁・木綿・鉄の人像・鏡・鉾を始め、御食・御酒、海川山野の種種の物を置き足らはして献る状を、平けく安けく聞し食して、大御刀代鋤き返す忌鍬かたらかに、造り仕へ奉らしめ給へと、恐み恐みも白す
神田祭場祝詞
大御刀代を護り坐す大神の前に白さく、今年より始めて、古き例の随に忌鍬以ちて大御刀代耕し始めて、忌種下の神業仕へ奉らくと、御食・御酒、海川山野の種種の物を置き足らはして献る状を平けく安けく聞し食して、御田業仕へ奉る丁等が、手肱に水泡搔き垂り、向股に泥搔き寄せて取り作らむ奥つ御年を、悪しき風・荒き水に相はせ給はず、八束穂の茂し穂に成し幸はへ給へと、恐み恐みも白す
抜穂祭祝詞
大御刀代を護り坐す大神の前に白さく、大御刀代に忌種下し、忌鍬を執りて作り仕へ奉れる奥つ御年を、八束穂の茂し穂に成し幸はへ給へるによりて、今日の生日の足日に抜穂の神業仕へ奉らくと、御食・御酒、海川山野の種種の物を置き足らはして献る状を、平けく安けく聞し食して、神嘗の由貴の大御饌厳しく美しく仕へ奉らしめ給へと、恐み恐みも白す
※各祓詞・祝詞の「今年より始めて古き例の随に」は昭和九年四月十日内務省令第五号において「年毎の常の例の随に」に改められた。
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