▼祭式教室とは、祭式とは何かを説明。
▼私の出た國學院大學の祭式教室のようす(当時)。
▼そこで行われる祭式の授業についても説明。
祭式教室とは
祭式教室は、祭式作法の勉強をするための教室です。大小どんなお祭りをするときも、基準になる式次第があり、決まった拝礼作法があり、どちらの足から踏み出すか、どちらの膝からついて座るかなどみな決まっています。
それをひっくるめて「祭式作法」といい、神職養成課程の必修科目になっています。大学、養成所、講習会など資格を得る道はいろいろありますが、祭式作法を勉強しないで神職になることは絶対にできません。
お祭りのしかた、各種作法を学ばなかった神主って、いやですよね。
まったく飛行機の操縦を知らないパイロット、メスを握ったことのない外科医のようなものでしょうか。
祭式教室へご案内
そこで今日は、私の卒業した國學院大學の祭式教室へご案内することにいたします。十うん年前の記憶をたどってのご案内なので、不正確なところ、いまは変わっているところがあるかもしれません。まず祭式教室の扉は重い。防火扉だったんでしょうか。鉄製の扉を開けると、左手前にげた箱、その下にはスノコがあります。ここで靴を脱いでげた箱におさめ、あがります。
つぎに、これも入口から見てやはり左手にある流し場で手を洗い、口をすすぎます。神社参拝時などの手水と同じです。流し場は学校によくある水飲み場とそう変わりません。
さらに奥のつきあたりには教員控室があります。私は入ったことがないので詳細は不明。ちらっと見えたときには、畳がしかれ、テーブルが置かれていました。
教室へ入ると
流し場にむかいあって、つまり入口から見て右手の引き戸をあけると、祭式教室です。一礼して入らなければなりません。
右手手前には更衣室、右手奥には祭具用の物置があります。床は板張り、まるで学校の体育館のようですが、ステージなどはもちろんありません。
かわりに、神社の本殿のようなものがあります。五段ほどだったと思いますが階段、手すり、欄干、そして扉・・・・・・みな白木でできています。こうした神社の本殿のようなものが、三つならんでおります。
本当は空殿、学生の練習用なのでつまりは神様をおむかえしていないのですが、こちらをご神前としましょう。
ご神前にむかって右側はすべてガラス張り、道路をはさんだむこうには、同じ学校の講義棟が見えます。左側はご神前の脇にやはり祭具庫があり、ふだんあまりつかっていない祭具や、装束などがおさめられています。
同じく左側の壁側には、教員室への出入口。最初に鉄製の扉をあけてはいったとき、つきあたりになる出入口とつながっています。つまり教員室の出入口は二か所。
左の壁面には、初代の祭式の先生である青戸波江先生の書、経歴をしるしたパネル、肖像写真のパネルがあります。うしろの壁面にも書があったんですが、どなたのものだったか・・・・・・有栖川宮幟仁さんだったかもしれません。失礼ながら忘れてしまいました。いつもご神前をむき、こちらの方は背をむけていましたから、あまり記憶にありません。
私の座っていた場所は
さて、三つある本殿の中央、階段の左右には欄干があります。その二つある欄干のうち、むかって右側のものから、まっすぐさがって壁につきあたったあたり。ここが祭式の授業のとき、いつも私が座っていた場所です。右手は、ブラインドがあいていればすぐ外に電柱が見え、左手のつきあたりは、最初にはいってきた教室の出入口です。誰がどこに座るかは決まっていました。最初の授業で決められ、席替えのようなことはありませんでした。私が受けていた授業では、七列にわかれ、全部で四十人ほどでした。
祭式の授業あれこれ
授業の初めには神拝行事がおこなわれます。出席番号の最初から、順に斎主をつとめます。祝詞奏上の作法によって、声をそろえてみんなで大祓詞を奏上します。講義内容については、前期は基本作法、つまり立ったり座ったり回転したり並んだり、拝んだりとまあ色々でした。後期にはいってちょっとたったころまでは、お祓いの仕方や本殿の扉の開け方、閉め方、お供えの上げ方、下ろし方などなど。
その上で大祭式、いうなれば、でっかい重要なお祭を御奉仕するとして役割を分担、練習しました。試験はこの大祭式を行っているところを先生がチェックされる、というやり方です。
大は小を兼ねるとはよくいったもので、でっかいお祭りができるなら小さいお祭りもご奉仕できるんですね。いまでも私などがご奉仕したことのない、重要なお祭りももちろんありますが、それでも、学校で教わったことをベースに、どうすればいいのか調べ、人に教わるなどすれば何とかご奉仕できると思います。当然ですが、この世界も基礎がだいじなのです。
私の場合、祭式の授業は好きでしたし、ぜんぶ出席したんですが、当時習っていま無駄だったことは全くありません。
「奉職してから細かいところまで憶えればいいんだ」
「神社によって作法が違う」
「うちの神社は小さいから、こういうことはやんない、憶えなくていいんだ」
同級生のあいだでは、いろいろな声がありました。
奉職後、はたして実際はどうだったか、聞いてみたい気がします。
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