ここまで宮司就任奉告祭祝詞について、どのようにつくっていったかを、それから前回、草稿ができたあとに一読し、気になった点について、説明しました。
人形感謝祭祝詞について述べたときには、いちいち各部分で立ち止まり、くどいくらいに説明をくわえましたが、今回はくりかえし説明するのを避けたこともあって、それほどではありませんでした。
ただ、推敲の指針については、いい足りなかったところがあります。どちらかといえば、推敲後のことを多く述べてしまいましたので、ここでは推敲そのもに重点をおいた説明をし、宮司就任奉告祭祝詞について終わりにしたいと思います。
まず、当たり前ながら、日程の余裕をじゅうぶん持って草稿をつくる方がよいです。実際には急に祭事が飛び込んでくることも往々にしてあり、そうもいっていられないこともありますけれども、祭日が毎年同じだったり、予定が前もって決まっていたりするなら、十日前には草稿を完成させておくとよいのではないかなと思います。
というのも、草稿が完成したら、できれば二、三日は寝かしておきたいのです。若い人ならば一週間以上でもよいくらい、要は、草稿で何を書いたのかを忘れてしまうくらい、時間に余裕あるのが望ましいのです。書いてすぐに推敲して完成、というのはおすすめしません。草稿完成直後は、誤字などのチェック程度にとどめるべきです。
数日、あるいは一週間たち、どんなことを書いたのか、ぼんやりしてよく思い出せなくなったら、推敲によい時期です。パソコンに保存したのならプリントアウトし、手書きならその手書きの草稿を出してきて、まずざっと全体に目を通し、つぎにもういちど頭にもどって、じっくりと読んでみます。赤ペンでも黒ペンでも手にもって、修正をくわえてゆきます。草稿段階では思いつかなかった表現を思いついたら、書きくわえます。語句を補うべきと気づいたら補い、削るべきところは削ります。迷ったら、どちらかといえば削る方がよくなることが多いようです。
こうして結尾部に至ったら、それを最初から書き直します。パソコンでしたら、特に祝詞作文に慣れていない人ならば、いちから打ち直すのがおすすめです。たいへんなようですが、ゼロからうんうんうなって草稿をつくりあげたときとはちがって、語句をくわえたり削ったりしたものを読みながら打ち込むだけです。
こうして修正稿ができあがったら、またいちど寝かせてから推敲……といきたいところですが、時間には限りがありますので、そうもいかないこともあるでしょう。それに、推敲すれば必ずよくなるわけでもありません。やりすぎてしまうと、推敲そのものが目的になってしまう恐れさえあります。
では、どこで打ち切って決定稿とすればよいのでしょうか。その人の作文の経験にもよるのでいちがいにはいえないのですが、私の場合、急に祭事が入って祝詞を書かねばならないときをのぞき、三度は推敲することにしています。
まだいい足りていない、部分があるような気がしますけれども、別な機会に譲ることにしまして、ひとまず宮司就任奉告祭祝詞については以上で終了とします。
いま、祝詞の慣用表現をおぼえつつ、作文にも慣れることができるようなシステムをつくることができないかなと考えています。見切り発車、テスト版として、近いうちにまず公開するかもしれません。もしそうなったときには、よろしくお願いいたします。
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